立山黒部アルペンルート、「室堂平」で雷鳥(ライチョウ)を観察してきました。
実際、雷鳥(ライチョウ)はどこにいるのか?登山経験が無くても行けるのか?装備は?予約なしでも交通機関は利用できるのか?・・・など、行くまでに色々と調べて苦労したので、今回は経験を含めてまとめます。
「室堂平」での雷鳥観察、参考にしていただけたら嬉しいです。
雷鳥(ライチョウ)観察しやすい時期
雷鳥(ライチョウ)の観察は子育てをする春から夏にかけてが魅力的ですが、その時期はまだ雪があり、人が多い時期です。
山に慣れていない、あるいは初めて行く場合は、雪の時期・登山者や観光客が好む時期を避けて行く方が良いでしょう。
特に「雪の大谷(巨大な雪の壁の中を通ることができる)」の時期は早朝に訪れても、長い列に並ぶことになります。このほか、夏休みに涼を求めに、または紅葉を見に訪れる家族連れも多いので、大型連休や土日を避けて行きましょう。
オフシーズンの平日に行こう!
有名な「雪の大谷(巨大な雪の壁の中を通ることができる)」は6月下旬までです。そのため、
- 7月に入ってから夏休み前までの平日
- 9月上旬から中旬にかけての平日
がオススメ。9月下旬以降になると紅葉シーズン到来で人が多くなります。さらに季節が進むと、積雪が深くなってしまいます。
▼4月下旬~11月下旬がアルペンルート開通の時期です。
- 4月下旬~6月:雪の大谷の時期。アルペンルート開通から間もなく、まだ積雪あり
- 7月~8月:高山植物が咲き乱れる
- 9月~10月:紅葉の時期。9月上旬から少しずつ始まる
- 11月下旬:アルペンルート閉鎖。白銀の世界へ
▼9月中旬にはチングルマの綿毛がなびく
室堂平への行き方
MAP
アクセス
車で行く場合
マイカーで室堂平へは行けないようになっています。立山駅周辺に「マイカー駐車場」があるので、利用すると良いでしょう。
私が訪れたのは、紅葉前の9月平日。朝7時ころ、駅からいちばん近い駐車場では、半分も埋まっていませんでした。
雪の大谷の春、高山植物が咲き始める夏、紅葉の時期はとても混雑するので、雷鳥(ライチョウ)観察が目的ならば、その隙間の平日オフシーズンを狙って行くほうが良さそうです。
駐車したら、以下の方法で行きます。
公共交通機関で行く場合
立山駅 → ケーブルカーで美女平(7分) → バスで室堂平(50分):トータル約1時間
乗り換えするのも、切符買うのも面倒・・・。
これが私の印象でしたが、なんのことはありません。乗り換えも切符も、何も戸惑うことはありません。
まず、立山駅に行くと、切符売り場に担当の人が立っていて「どちらまで行かれますか?」と聞いてくださいます。
宛先を伝えると、目的地までの往復切符を発行してくださるので簡単。係の人が切符のバーコード読み取ってから、乗車します。これにより、未使用の当日券かどうか瞬時に分かるようになっています。
▼ケーブルカーとバスの往復が1枚の切符で済む
行きのケーブルカーの時間だけ決まっているので、乗り遅れないよう注意します。
ケーブルカーは朝7時または8時ころ(季節によって変わる)より、20分に1本。バスは1時間に1、2本といった感覚で運行しています。
事前に運行状況をチェック
山の天気は変わりやすいですし、予想外に混雑する日もあります。当日、運行状況を事前にチェックしてから行きましょう。
公式サイトのライブカメラで、直近の天候や人の流れ、駐車場の状況などを知ることができます。
美女平の乗り継ぎ時間
立山駅 → ケーブルカーで美女平(7分) → バスで室堂平(50分):トータル約1時間
そして、ケーブルカーからバスに乗り換える「美女平」で20分くらい待ってしまう事もあるので、あらかじめ乗り継ぎ時間をチェックするとスムーズに行けます。
とはいえ、「美女平」は美しい原生林がある紅葉スポットでもあります。混雑状況を見て、「美女平」の遊歩道を少し歩いてからバスに乗るのもオススメです。
日時を指定できる!WEBきっぷ
平日に行けない、あらかじめ切符を買っておきたい、混雑していて現地で買えるか心配・・・といった場合は、WEBきっぷもあります。
メールアドレスで会員登録をする必要があるのがちょっと手間ですが、利用ガイドがあるので手順は簡単。日時を指定できます。
室堂平の様子
室堂平って、がっつり登山する場所なのでは!?と思いきや、散策ルートもあります。
「室堂ターミナル」を出ると、数パターンの散策ルートが記載されているMAPが掲示されています。体力や時間と相談しながら、参考にすると良いでしょう。紙の簡易MAPは「立山自然保護センター」で頂くことができます。
比較的近くて、分かりやすいのは「ミクリガ池」を目指すルート。
周辺は高低差があるものの、のんびり散策する事が出来ます。この他のルートも、各所に案内があるので、迷うことなく行くことが出来ます。
室堂平は、雷鳥(ライチョウ)以外にも沢山の見どころがあります。
見どころいっぱい
3000メートル級の山岳景観や火口湖、地獄谷に見られる火山活動や歴史など、様々な見どころがあります。
歩道に沿って歩くと、池や地獄谷付近、立山室堂へ行くことができます。
▼室堂平の主な見どころ
- ミクリガ池:立山火山の水蒸気爆発で、火口に水がたまって出来た池
- 地獄谷:沢山の噴気孔や温泉がある窪地。有毒ガスが出ており、随時計測しています。
- 立山室堂:国指定重要文化財。立山登拝の人々の最後の宿坊。
- 玉殿岩屋:室堂平の東端の崖にある洞窟。立山への修行者が利用していた聖地。
- 山崎カール:国指定の天然記念物。雄山の西直下にある圏谷。
散策ルートを歩いてみよう
バス発着の「室堂ターミナル」から、ミクリガ池やミドリガ池へは約20分。
その先に「ミクリガ池展望台」があるので、体力と時間が許す場合はぜひ寄ってみましょう。立山ならではの景色を堪能できます。
「雷鳥荘」付近はアップダウンが大きくなっていますが、ゆっくり歩けばたどり着くことができます。このあたりは「リンドウ池」や「血の池」が目印。
▼酸化鉄を含んで赤く見える「血の池」
歩道は案外歩きにくい
実際に歩いて感じたのは、歩きにくさ。
歩道は、ゴツゴツした石畳が敷き詰められていて、凹凸が大きい道があります。アップダウンが大きいルートは特にそれを感じて、ふんばれない。
普段、トレッキングをされている方なら何てことないでしょうけれど、その経験が無い場合は疲れやすいと思います。もし、ミドルカットやハイカットのシューズをお持ちなら履いてきた方が良い場所です。
天気は急変!山の服装で行こう
バスの発着「室堂ターミナル」付近は標高2450メートル。街中よりも早く季節が進み、天候の変化が多い山の中にあります。
私が訪れたのは9月中旬。台風が近くに来ていて、街中では半袖でも汗が出る日だったのに「室堂平」では、状況が違いますした。
ザっと雨が降ったかと思ったら、急に陽射しが射し込んだり、突風が吹いたり。天気がコロコロと変化。
冷たい突風が通り抜けた時には、ダウンジャケットを着て丸くなり、震えていた人も見かけました。風を通さないウインドブレーカーや寒さ対策を必ずして行きましょう。
空気が薄い!時間と体力の余裕を持って散策へ
室堂平の空気は、平地の約75%の薄さです。
事前にその知識はあったけれど、色んな年齢層の方が訪れてるし、まぁ大丈夫でしょうと甘く見ていた事を後悔することになりました。
雷鳥(ライチョウ)見たさに、息が荒いまま、坂道をガンガン進んでいると、突然目の前がサーっと血の気が引いたようになりました。気持ちが悪くなり、進めなくなってしまったのです。
こうなってしまったら、まずは休憩と水分補給。ゆっくり深呼吸をして、身体を休めることで落ち着きました。
無理せず、水分補給しながらゆっくり。時々立ち止まって、景色を堪能しましょう。
雷鳥を見るには
まずは立山自然保護センターへ
バスの乗り降りをする「室堂ターミナル」に隣接している「立山自然保護センター」に寄ってみましょう。直近の目撃情報を教えてくださいます。
登山の装備が必要な場所まで行かずとも、ミクリガ池の手前でも目撃されています(2022年9月現在)。
私はこの「立山自然保護センター」の存在を知らず、過去のうすぼんやりとした情報を頼りに闇雲に歩いてしまい、疲労困憊。息をきらしながら、何時間も歩いてしまいました。
目撃情報はウェブでも公開されています。
▼2022年9月下旬の目撃情報
室堂ターミナルには食事処もある
バス発着「室堂ターミナル」には、お食事処があります。手軽なのは1階の「立山そば(立席のみ)」や「味覚コーナー」。
じっくり座って、景色を眺めながらお茶するなら2階の「ティーラウンジりんどう」、食事をするのなら同じ階の「レストラン立山」。
▼氷見うどんきつね定食 1,300円 (7/1~ 1,350円)
しかし・・・炭水化物が多いし、なかなかの高額。麺だけでも良いのですが、麺の単品メニューがありません。
隣のテーブルの人も同じことを思ったのでしょう。「きつねうどんだけって出来ますか?」と問い合わせたところ、料金そのままで、ご飯無しができるとの回答でした(あぁ・・・もやもや感!)。
室堂平に行ってみよう
今回は「室堂平」について紹介しました。この記事を簡単にまとめると以下になります。
- 雷鳥(ライチョウ)観察はオフシーズンの平日がおすすめ(※1)
- 雷鳥(ライチョウ)の出現情報を見て行く(※2)
- マイカーは立山駅周辺まで。駐車場あり。
- 立山駅から室堂までは約1時間。乗り継ぎ時間をチェック
- 往復切符は当日券の他にWEB切符もある(※3)
- 混雑・運行状況を事前にチェックしてから(※4)
- 登山だけじゃない!散策ルートも充実
- 歩きにくい&空気が薄いので体調は万全に
- 山へ行く服装と靴で、ゆっくり散策
- 食事処は室堂ターミナル1階と2階にあり(時間制限あり)
(※1)7月に入ってから夏休み前までの平日、または9月上旬から中旬にかけての平日は比較的空いています。当日の状況を(※3)でチェックしてから行きましょう。
(※2)≫ 立山のライチョウ保護サイト|ライチョウ見守りネット
これまでに確認された野鳥
以下は「立山自然保護センター」内で紹介されていた「室堂平で見られる野鳥」です。
- アオジ
- イワツバメ
- イワヒバリ
- ウソ
- カモ
- カヤクグリ
- カワラヒワ
- キビタキ
- チョウゲンボウ
- トビ
- ハシブトガラス
- ヒヨドリ
- ホシガラス
- メジロ
- メボソムシクイ
- ライチョウ